新築は初の1億円超え、中古都心は下落|東京の不動産に今、何が起きているのか2026.08.26
2026年7月21日、不動産経済研究所が発表した数字が話題になりました。首都圏の新築分譲マンションの平均価格が、2026年上半期(1〜6月)として集計史上初めて1億円を超えたのです。
その直後、今度は「中古マンションが下落し始めた」というニュースが相次ぎました。東京カンテイ、東日本不動産流通機構(レインズ)のデータをもとにした分析、日本経済新聞、そして朝日新聞など複数のメディアが、ほぼ同じ時期に都心部の中古マンション価格の下落傾向を報じています。
参照:朝日新聞デジタル
新築は上がり続けているのに、中古の一部で下落が報じられている。同じ東京の不動産市場で、なぜ違う動きが同時に起きているのでしょうか。本記事ではまず、何が起きているのかをデータで確認します。
目次
新築マンションが史上初の1億円超え
上半期の数字を確認する
不動産経済研究所の調査によると、首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)の新築分譲マンション市場は次のような状況です。
| 指標 | 2026年上半期(1〜6月) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 発売戸数 | 7,989戸 | ▲0.8%(上半期として5年連続減少) |
| 平均価格 | 1億135万円 | +13.1%(+1,177万円) |
| ㎡単価 | 151.4万円 | +12.1% |
| 初月契約率 | 64.8% | ▲1.8pt |
参照:不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2026年上半期」(PDF)
6月単月でも平均価格は10,137万円(前年同月比+10.6%)と、1億円台が単月ベースでも定着しつつあります。一方で発売戸数は1,564戸(前年同月比▲4.7%)と減少しており、「量が減って単価が上がる」という構図が続いています。
なぜ上がり続けるのか:建築費というボトルネック
価格上昇の背景には、建築費の高止まりがあります。日本銀行の企業物価指数(2026年6月分、発表7月10日)によれば、生コンクリート指数は160.2(前年比+7.0%、2026年5・6月として系列最高値)、合板・集成材は151.5(前年比+14.5%、主要建材の中で最大の伸び)でした。セメント指数自体は166.2で9カ月連続同値と上昇が止まっていますが、住友大阪セメントが2026年5月に値上げを発表するなど、コスト上昇の圧力は根強く残っています。
一方、中古マンションは「下落」のニュースが相次いだ

都心6区で37カ月ぶりの下落
東京カンテイの調査では、都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)の中古マンション(70㎡換算)の平均希望売却価格が2026年2月時点で1億8,761万円、前月比0.2%減となりました。これは2023年以来、37カ月ぶりの下落です。2020年1月時点の約8,154万円から数えると、6年で2.3倍まで上昇してきた末の下落局面ということになります。
レインズでも73カ月ぶりの下落
マンションリサーチ株式会社が2026年6月12日に発表した分析(対象:2024年1月〜2026年3月、182,367件の成約事例)によれば、東日本不動産流通機構(レインズ)のデータをもとに、2026年5月度の首都圏中古マンション成約㎡単価が73カ月ぶりに減少したことが明らかになりました。特に流通量の大きい都心3区(千代田・中央・港)で下落幅が大きくなっているとのことです。
参照:マンションリサーチ株式会社「都心3区のマンション市場に何が起きているのか」
一方で東京23区全体を見ると、前月比+1.9%の1億2,349万円(22カ月連続上昇で過去最高を更新)となっており、エリアによって全く異なる動きが同時に起きています。
日本経済新聞も2026年7月10日に「東京23区の中古マンション、2年ぶり値下がり 都心で縮む『挑戦価格』」、7月29日には「東京23区の中古マンション価格、上昇局面終了か 賃料も横ばいに」と報じています。朝日新聞も同時期、都心部の不動産価格に下落の動きが出ていることを報じました。
新築1億円超えと中古下落は、矛盾していない
新築価格を押し上げているのは建築費という「供給側」のコスト構造です。一方、中古の一部で下落が報じられているのは「需要側」、つまり買い手の反応の変化です。金利環境の変化や海外投資家の動向、そして統計の取り方そのものにも、この「下落」の実態を読み解く鍵があります。

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「37カ月ぶり下落」「73カ月ぶり下落」という数字だけを見ると、都心マンション市場に大きな転換が起きているように見えます。しかし実際には、ある1つの物件の値下がりが統計全体を動かしていたという事情や、エリアによって明暗が大きく分かれている実態があります。
後編では、以下を解説します。
- 「37カ月ぶり下落」の裏で、実際に何が起きていたのか(統計を動かした特定物件の事情)
- 都心3区・都心6区・23区全体・城南城西エリアで、なぜ動きがこんなに違うのか
- 専門家の間で分かれる「踊り場」説と「転換点」説、それぞれの論拠
- エリア・価格帯別にみる、今後の判断軸
- 保有中の方・購入検討中の方が、それぞれ今すべきこと
参考・引用元
- 不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2026年上半期」 https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/679/s2026-16.pdf
- 不動産経済研究所「2026年6月」 https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/681/nlsUcB71.pdf
- 現場メディア「建設資材価格の動向2026」 https://www.genba-media.jp/articles/zey4z_xz9e
- マンションリサーチ株式会社「都心3区のマンション市場に何が起きているのか」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000223.000013438.html
- 朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASV7Q33S0V7QULFA018M.html
- 日本経済新聞「東京23区の中古マンション、2年ぶり値下がり 都心で縮む『挑戦価格』」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB107YM0Q6A710C2000000/
- 日本経済新聞「東京23区の中古マンション価格、上昇局面終了か 賃料も横ばいに」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB29B5I0Z20C26A7000000/
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