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訪日客が5年ぶりに減った2026年上半期|それでも「客単価は過去最高」というねじれをどう読むか2026.08.19

2026年3月、当メディアでは「民泊投資はまだ買いなのか」というテーマを扱いました。あの記事は、インバウンド需要の回復を前提に、民泊と賃貸の収益構造の違いや参入の判断基準を整理したものです。

そして記事の中で、注意点の一つとして「制度変更のリスク」を挙げました。営業日数の制限が厳しくなる、届出要件が強化される、対象エリアが絞られる——あくまで将来起こりうる可能性として書いた内容でした。

あれから約半年。その「可能性」は、ほぼすべて現実になっています。

本記事ではまず、需要側で何が起きているのかをデータで確認します。結論から言えば、多くの人が想像しているのとは違う変化が起きています。

目次

訪日客数が5年ぶりのマイナスに

数字を確認する

日本政府観光局(JNTO)が7月15日に発表した2026年上半期(1〜6月)の訪日外国人数は、前年同期比2.0%減の2,108万4,800人でした。上半期として2年連続で2,000万人を超えたものの、前期実績割れはコロナ禍の2021年以来、5年ぶりです。

6月単月の訪日客数も前年同月比6.8%減の314万8,600人と、3カ月連続で前年を割り込みました。

減ったのではなく、入れ替わった

ただし、「インバウンドが冷え込んだ」と受け取るのは正確ではありません。国・地域別の内訳を見ると、まったく違う絵が見えてきます。

国・地域2026年上半期前年同期比
韓国567万5,100人+18.6%(最多)
台湾397万2,200人+20.9%
中国205万8,200人−56.4%

中国からの訪日客が半減以下になった一方で、韓国が過去最多となり、台湾も2割増えています。

6月単月で見ると、この傾向はさらに鮮明です。韓国、台湾、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、メキシコ、英国、フランス、イタリア、スペイン、ロシア、北欧地域、中東地域の15市場が、6月として過去最高を記録しました。

つまり、市場が縮んだのではなく、顧客の構成が入れ替わったというのが実態です。

中国客減少の背景

中国からの訪日客が減少しているのは、中国政府による渡航自粛要請の影響が続いているためです。この要請は、2025年11月の高市早苗首相による台湾有事に関する答弁を発端としています。

6月の中国人客は7カ月連続で前年同月を下回りました。

参照:時事通信(前掲)

外交上の要因であるため、いつ解消するかを事業者側で見通すことはできません。この不確実性を前提に置くこと自体が、現在の判断材料になります。

一方で、客単価は過去最高を記録している

消費額はむしろ増えた

ここからが重要です。客数が減ったにもかかわらず、消費額は減っていません。

観光庁が同日発表した4〜6月期の訪日外国人旅行消費額は、前年同期比0.2%増の2兆5,096億円でした。そして1人当たりの旅行支出は3.3%増の24万4,457円と、四半期として過去最高を記録しています。

参照:時事通信(前掲)

国別の首位が交代した

消費額の構成も変わりました。

国・地域シェア(4〜6月期)前年同期
米国15.3%(首位)14.2%(2位)
台湾14.5%
中国10.3%(2,592億円)20.2%(5,062億円・首位)
韓国10.3%(2,589億円)

消費額で長らく首位だった中国が2位に後退し、米国が入れ替わりで首位に立ちました。

観光庁によれば、ドルベースで米国人旅行者の宿泊費が減った一方、娯楽費や買い物費は増えているとのことで、「消費額が増えたのは円安だけが理由ではないのではないか」との見方を示しています。

参照:東急リバブル(前掲)

需要側だけを見れば、悲観する材料ではない

ここまでを整理します。

  • 客数は2.0%減ったが、5年ぶりのマイナスというだけで水準は高い
  • 中国が抜けた穴を、韓国・台湾をはじめ15市場が埋めている
  • 1人当たりの支出は四半期として過去最高
  • 消費額の総量はむしろ微増
  • 宿泊需要が消えたわけではありません。顧客の国籍と、求めるものが変わっただけです。この変化に合わせて立地や価格設定を組み直せる事業者にとっては、むしろ機会でもあります。

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需要側だけを見るなら、民泊はまだ十分に成立する事業です。

しかし、民泊にとって本当の逆風は、需要側ではありません。

2026年7月15日、民泊事業の前提を根本から変える通知が、全国の自治体に向けて発出されました。この通知により、これまで国が一貫して「適切ではない」としてきたある規制手法が、事実上容認されています。

そして自治体はすでに動いています。渋谷区では区内住宅地の大半で年間の営業可能日数が約63日にまで絞られ、大阪市では全国の特区民泊の大半が集中していた制度そのものが新規受付を終了しました。豊島区に至っては、すでに届出済みの既存施設にも新ルールが遡及適用されます。

3月の記事で「可能性」として挙げたことが、なぜこの半年で一気に現実になったのか。そして、それでも残る勝ち筋はどこにあるのか。

後編では、以下を解説します。

  • 7月15日の通知で何が変わったのか(「ゼロ日規制」の容認とICT管理の義務付け)
  • 自治体別の規制状況一覧(渋谷・千代田・豊島・墨田・葛飾・江戸川・大阪)
  • 「すでに届出済みだから安心」が成立しない理由。経過措置の有無は自治体で分かれる
  • 既存オーナーが今週中に確認すべき3つのこと
  • それでも残る勝ち筋と、手を出すべきでない条件

参考・引用元


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